蝸牛地帯 ルースカヤ・ファンタスチカ 光が丘Walker

ロシア人格闘家の名前表記問題


2000/2/4(金)

 プロレス専門誌「ゴング」を読んでいたら,人気連載「三者三様」の中でPRIDEシリーズに出ているボブチャンチンのことを「ボブ・チャンチン」と記してあった.いくらなんでもそりゃないだろう.鼎談のテープ起こしをした人は,英語的にボブが名前だと思いこんでしまったらしい.そして校正者もそう思いこんで…….って言っても,何の知識も無い人が校正をしているとは思えないし,もしそうだったとしても他のページでは「ボブチャンチン」になっているのに…….
 ちなみに,専門誌には「イゴール・ボブチャンチン」と記されているが,ロシア人なので名前は「イゴール」ではなく「イーゴリ」と書いた方がいいし,スペルからすると姓のほうも「ヴォフチャンチン」のほうがいいのではないかと思うのだが……(ローマ字表記はIgor Vovchanchin,ロシア語表記はたぶんИгорь Вовчанчин).実際,「春の祭典」の作曲者も最近では「イーゴリ・ストラヴィンスキイ」と書かれているわけだしね(あと,ナボコフの名前も「ウラジミール」ではなく「ウラジーミル」である).
 まぁ,専門誌が「イゴール・ボブチャンチン」としてしまっているので,今さら「イーゴリ・ヴォフチャンチン」と書いても理解してもらえない危険があるため,こんなことを書いておきながら私も一般の表記を使ってしまっているのだが…….


2000/2/10(木)

 再びボブチャンチンのネタ。
 本日発売のプロレス専門誌「ゴング」に、再びボブチャンチンの話が掲載されていた。これがほんとうにしょーもない内容で、なぜ「ボブ」ではなく「ボブチャンチン」なのか、「チャン」とか「チン」とは何なのか、という他国の伝統と文化を舐めきった話だった。全く笑えないし、逆に不愉快だ。これは決してロシアに対する不理解のみに対して呆れているわけではない。人の名前をいじって面白いと思っている無神経さに呆れているのだ。いーかげんにしてほしいものである。
 同じように、私がなぜ「Norihiro」なのか、「Nori」ではダメなのか、「hiro」とは何なのかとか聞かれたとしても、そうだからとしか答えられない。そう聞かれたとしても、相手のことをアホだとは思わないが、何の理解も無い人なんだろうとは思うだろう。
 こんなくだらないことを書くらいなら、まともなインタビューの一つも載せてもらいたいものだ。ボブチャンチンのインタビューだったら、ぜひとも読んでみたいのだが……。実際、ボブチャンチンに限らず、ハンやコピロフ、ミーシャなど、人気・実力ともに申し分のない格闘家はここ数年大勢いる。それなのに、アメリカの格闘家のインタビューはたくさん載るものの、ロシアの格闘家に関してインタビューが全く載らないという偏り方に全く疑問を持っていないようなのだが……。


2001/7/30(日)

 PRIDEに出場しているイゴール・ボブチャンチン(正確にはイーゴリ・ヴォフチャンチン)は現在最も注目している選手だが、次の大会に出場する掣圏道のボリショフ・イゴリにも期待している。マーク・ケアーと試合をするそうだが、ボブチャンチンがケアーを失神させた(結果ノーコンテスト)ように、物凄い結果になるのを期待している。
 ところで、ロシア人の名前をちょっと知っている人なら、「ボリショフ・イゴリ」が何かおかしいということに気が付くだろう。どう考えても、この人の名前は「イーゴリ・ボリショフ」なのだ。要するに、名前と名字が入れ替わっているのである。
 なぜ、こうなったのか、想像するのはたやすい。ロシアでは、普通は「名・姓」の順で使うのだが、公的な名簿には「姓・名」の順に書く。選手名を伝えるとき、ロシア側が「姓・名」の順で伝え、それを日本側がそのままの順で使ってしまったのだろう。これをわかっていてやっているのか、知らずにやっているのかはわからない。ただ、その場で全部「姓・名」の順で統一されているのなら、それほど大きな問題だとは思わない。もっとも、観ている人が、これを「姓・名」の順とは思わず、「名・姓」の順だと誤解しているようなら(絶対に誤解されている)、早く説明したほうが良いと思う。
 それよりも、イゴール・ボブチャンチンのような「名・姓」の順での表記と、ボリショフ・イゴリのように「姓・名」の順での表記が同じ場所に混じるのは、どう考えてもマズイのではないかと思う。表記を統一するか、説明を入れるべきだろう。
 参考までに掣圏道に出場しているロシア系の選手は次の通り。どれも「姓・名」の順である。
 フォロムキン・ユリー、ワルダニャン・アルタク、スタンケビチ・ゲナディ、シルガバエフ・ザミルベク、クリボシャプカ(?)・セルギ(セルゲイだろう)、ラスプティン・ヤウヘン、ナグニベタ・ルスラン、ブスィギン・アレクサンドル、アフメドフ・ザウル、タンコフ・ドミトリー、サヴォチカ(?)・ロマン、モナスティルロフ・アレクサンドル、グズニエフ・アブドゥラフ、サヴィン・ニコライ、トカレフ・ワジム、スルタンマゴメドフ・カフカズ(ス)、キルサノフ・アンドレイ。


2003/3/25(火)

 ちょっと我慢の限界を超えたので、一点だけ書いておく。以前にも指摘したが、ロシア人格闘家の名前の表記が滅茶苦茶だ。
 PRIDE25でチャンピオンになったのは、Фёдор Емельяненкоであり、日本語で書くならば「ョードル・エメリヤンコ」となる。TVや雑誌で紹介されている「エメリヤーエンコ・ヒョードル」などという表記は間違っている。
 確かにロシアの習慣では「姓・名」の順で書くこともあるので、「エメリヤネンコ・フョードル」にしても良いのだが、そうなるとすでに「名・姓」の順で表記している「イーゴリ・ヴォフチャンチン」(一般に通っている「イゴール・ボブチャンチン」は間違い)と食い違ってしまうことになる。
 名前のいい加減な表記は気になるし、相手に失礼なので、即刻訂正した方が良いと思う。


2003/3/30(日)-2

 K-1に「エヴジェニー・オルロフ」(Evgueni Orlov)という選手が出ていた。たぶんこの人の名前はЕвгений Олровと書くのだと思うが、この場合は「エヴニイ・オルロフ」なので間違えないように。


2003/5/29(木)

 ところで、PRIDE26に久しぶりにイリューヒン・ミーシャが参戦するのだが、この人の名前の表記に関しても2003/3/25や2003/3/30で指摘したのと同じ問題を含んでいるので、とっとと改めたほうが良いと思う。正しくは、「ミーシャ(ミハイル)・イリューヒン」なので、そのへんのところをご理解いただきたい。


2003/10/6(月)

 またやってしまっている。以前にも指摘したロシア人の名前の表記問題である(2003年3月25日、2003年3月30日)。
 昨日行われた「PRIDE武士道」に二人のロシア人が参戦したのだが、

セルゲイ・ハリトーノフ名・姓の順
エメリヤーエンコ・アレキサンダー姓・名の順

という、ちぐはぐな表記になっている。
 しかも、エメリヤーエンコは「エメリヤーネンコ(Емельяненко)」だし、アレキサンダーは「アレクサーンドル(Александр)」である。
 何とかならんのか、これ。
 外国から選手を招聘するのであれば、相手国の名前の表記くらい勉強して、表記の方法を統一するというのは、相手に対する最低現のマナーじゃないのか?


2004/1/12(月)

 今日放送されたNHK教育の「ロシア語講座」では、ロシアの格闘家が紹介された。
 まずはビクトル古賀先生。伝説のサンボマスターが動いて、しかもロシア語を話しているお姿を拝見できただけでも感動した。そのうえ、先生がレポーターに教えていたのは、ビクトル投げからの足関節極め! こんな贅沢な映像を見ることができるなんて……。
 次に登場したのは、エメリヤネンコ・フョードル選手。さすがにロシア語の番組だけあり、これまで散々指摘しているエメリヤーエンコ・ヒョードルなどという間違って広まってしまっている表記は使わず、しっかりとエメリヤネンコ・フョードルという正しい表記で紹介していた。また、ロシアでは、文書においては「性・名」の順で表記するということも併せて解説していた。
 NHK教育の番組で、しっかりと解説されたのだから、格闘技関係の報道さんも、いい加減、改めてほしいと思っているのだが……。本気で気になって仕方がないんだよう!
 マイナーな番組とはいえ公共の放送でしっかりとした表記が紹介され、しかもフョードル選手にも通訳が付いているはずだから、そろそろ関係者の間でも、現在の表記が間違っているということに気が付く頃だとは思っているのだが……。
 それなのに、誰も気が付かないふりをして(または本気で誰も気が付かないか)、誰も表記を直さないという状況が続くと、馬鹿にされるのは関係者さん達なんだけど……。


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